第11回すげの会標本同定会 徳島大会報告(2015)

第11回すげの会標本同定会 徳島大会報告(2015)

今回の同定会は、初日(19日)に15名、20日にメンバー入れ替わっての15名が参加し、終了の15時まで未同定標本と格闘しました。

<2015年12月19日(土)14時開始>
正木が開催2時間前(12時頃)に会場入りすると、なんと支倉さんがすでに標本を同定中!
よくよく見るとタケ・ササ類を昨日から見ておられるとのこと。
さっそく、同定カードをお渡しし、お仕事の邪魔をしないように会場準備。

徳島県博からは小川 誠さんとイネ科の茨木 靖さんが前日から博物館に収蔵されているスゲとカヤツリグサ科未同定標本をすべて会場に集めてくださっていました。う~む圧巻!現在、収蔵庫には入れない状態で、必要な分類群は希望に応じて出してくださいました。

会場には、茶菓子のほか、岩手の鈴木さんの差し入れ「かみかみ昆布」、最新号掲載予定の分布図、スゲT、カヤツリグサ科図譜と日本のスゲの割引販売、徳島県植物誌、小川さんと茨木さんのカヤツリグサ科レポートと論文を展示しました。

また、受付では名札、資料のほか、できたてほやほやの西本眞理子先生の新作「カヤツリグサ科カラー絵はがきセット(ササノハスゲ、ナルコスゲ、メリケンガヤツリ)」を1枚選んでいただきました。

14時から標本同定会はじまり!
まずは来年の全国大会について、開催地(新潟県)と日程をお知らせ。
次に会場に展示してある分布図、書籍のご紹介。開会の挨拶は、星野先生。
次に小川さんから徳島県博の標本庫(TKPM:正式登録済)紹介をしていただきました。

県博の標本庫はガスによる殺虫方法がとられており、もし漏れたら大変!また、電灯を切り忘れてまさかの発火があってはいけない、さらに老朽化の波も押し寄せており、今回、スゲ標本をすべて出していただくことになったそうです。ありがたいことです。

最後に、なんとカンスゲでつくった紙をご紹介くださり、季節柄、年賀状ができていました・・・!今はキッチンハイターを使えば簡単にできるとのこと、衝撃(笑撃?)でした。その後、参加者の皆さんに自己紹介をお願いしました。地元徳島からは木下さん、県博の緑クラブの谷さんと山本さんが参加してくださいました。

木下さんには、続けて「徳島のスゲ」についてご講演いただきました。
開催2日前の突然の私(正木)からの依頼にもかかわらず、鮮やかに引き受けてくださり、これまでの思い出のスゲ話をしてくださいました。四国では徳島だけの「オオムギスゲ、オオクグ、ツクシナルコ」、雑種タカオスゲの両親がナルコスゲxアゼスゲでなく、ナルコスゲxタニガワスゲであることを74年ぶりに明らかにした2011年の朝日新聞、アオヒエスゲxヒゲスゲ雑種イシマスゲ(裸名)など盛りだくさんの内容でした。

タカオスゲは「高尾山スゲ」なのに、アゼスゲは高尾山に無い!?という疑問からはじまった本当の親探し、4年前に木下さんが明らかにしてくださったことを私はまったく知りませんでした。改めて日本のスゲについて知らないことばかりであることを痛感しました。

その後、岐阜の清水さんと木下さんのお持ちくださった標本を星野先生に、広島からご参加の西岡さんの標本を正木が担当しました。西岡さんは今年の新入会員さんです。広島からは齋籐さんもご参加でしたので、新たな絆も生まれました。

おっと16:30すべり込みセーフ、神奈川から勝山さんご登場!
この日は神奈川県博のスゲ展示初日でお忙しいところ駆けつけてくださいました。懇親会からご参加予定を繰り上げてタクシーで乗り付けてくださったとのこと。ありがとうございました!すかさず記念撮影。一安心です。

17時前になると大急ぎでバスに乗る準備です。駅直通の本数が少ないので乗り遅れたら大変。懇親会は徳島駅前「徳島東急REIホテル」にて。おおいに飲んでしゃべっていただきました。

<2015年12月20日(日)2日目10時開始>
さて2日目、三重から山脇さん、高知博の田邉さんと前田さんが今日からご参加です。高知で一番おいしいとの評判の「芋ケンピ」をおみやげにいただきました。後ろでは千葉の倉俣さんと木下さんがシダ同定会開催中。すげの会はオールマイティですので、こういった交流も大歓迎です。10時ちょうど、三重の山脇さんすべり込みセーフ。

まずは勝山さんに昨日初日を迎えた神奈川県博の「スゲ展」の模様をお話しいただきました。なんと菅笠をかぶった勝山さんと写真を撮れるおもしろシステムがあります。「だれ得?」という話ですが、もちろん「スゲ得」、「すげの会会員得」ということになります(笑)スゲ標本をならべた姿は圧巻!タヌキと・・おっとここは目玉のひとつですから、ヒミツです。

 *ホームページでは「本日のスゲ」が公開されております。特に右下注目。
 「すげみくじ」まであり、今日の私は、チチジマナキリスゲ(吉)でした(笑)
 http://nh.kanagawa-museum.jp/sp/2015planning/
 2016年2月28日(日)までの開催です!急げ~

次に織田さんの「ベニイトスゲの学名について」ご講演はじまりです。こちらのご講演もわたくしが2日前に突然にお願いしました(汗)。徳島は四国→四国で最近話題になったスゲ?
→参加者名簿を見る→織田さん?→ベニイトスゲの学名が変わったぞ→お願い
という短絡思考でお願いしてしまいました。

ちなみにベニイトスゲは徳島では絶滅危惧II類として扱われております。織田さんも快く引き受けてくださり、重ねて感謝申し上げます。本邦初?、パリ自然史博物館を訪れたときの写真に織田さんの娘さんご登場。そのときの旅程をすべて引き受けてくださったとのことですばらしい娘さんです。ベニイトスゲ学名変更の影の功労者でしょう。

学名変更はそれまでの学名で覚えてしまっているので、なかなか頭に残りにくいものです。このようなエピソード(裏話)をうかがうことで、「学名が変わった!」ということがご参加の皆さんに刻まれたと思います。

あとはひたすら未同定標本と時間との戦いです。
1点でも多くの標本を同定して帰りたいので、皆必死です。
織田さんは私がお渡ししたアノテーションカードがなくなったとのこと!
もっとたくさんお渡しすべきでした・・すいませんです。

私の後ろでは、勝山さんと茨木さんがイネ科のはなしで超盛り上がり。
高知の田邉さんと前田さんも木下さん、小川さんから情報収集に余念がありません。何でもアリです。

 「お、”motosikokiana” だ!」と勝山さん。

何事かと思ったらベニイトスゲでした(笑)
Carex alterniflora Ohwi var. rubrovaginata J.Oda et Nagam. さっそく、つづりを再確認しました。17時すぎのバスに乗るため、17時まで未同定標本を見ました。大いに残ってしまったのが心残りです。

小川さん、茨木さん、ありがとうございました!
ご参加の皆さまには、修了証をお送りいたしました。

 

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