第16回全国大会 大阪大会報告(2005年)

第16回全国大会 大阪大会報告(2005年)

第16回大会
於: 金剛山にて

 すげの会第16回全国大会は5月14日(土)・15日(日)にわたって大阪府藤井寺市の藤井寺高等学校と河内金剛山で行われました。参加者は北は岩手県から南は福岡県まで52名が参加しました。研究発表は4名が行いました。ほぼ次のような日程で行われました。

5月14日(土)
12:30 藤井寺高等学校視聴覚教室にて受付

13:00 総会 
 正木氏から会員が増加していることが報告され、池田氏から事業報告があった。また、会長他役員の留任が決議されました。

13:30  研究発表会
  織田二郎・山本修平・永益英敏「ミヤマカンスゲcomplexの分類学的研究:再び近畿地方におけるミヤマカンスゲの形態的、細胞学的変異とその分布」
 正木智美・星野卓二「ホンモンジスゲ類の系統」
 勝山輝男「小笠原のスゲ属植物」
 星野卓二・坂本順一・正木智美「ヒルゼンスゲの起源と分化」

15:10 記念講演 「植物の学名の話」永益英敏氏(京都大学総合博物館助教授)
 雑種の扱い方や園芸植物の扱い方など学名上のさまざまな問題を解説してくださいました。

16:30 終了 直ちに金剛山へ移動
17:40 金剛山ロープウエイ乗車口駐車場到着
18:00 ロープウエイ乗車
18:10 山頂駅着 徒歩10分
18:20 香南荘着 各部屋へ
19:00 懇親会兼夕食
20:30 標本同定会及び標本交換会
 今年度は事前に交換用標本を持ち寄ることが織田から提案されていたので、多くの方が標本交換を熱心に行っていました。野口氏が持参されたアイノコシラスゲなどが注目を集めました。

5月15日(日)
8:00 朝食及び出発準備(自然散策路あり)
9:30 千早星と自然のミュージアム見学
10:00 山頂付近散策兼植物観察(3班に分かれて)
11:00 下山しつつ植物観察
13:30 駐車場で解散

観察会で観察されたスゲ属植物(正木氏記録)
1.念仏坂コース(星野・正木)
ヒカゲスゲ、カワラスゲ、タガネソウ、ジュズスゲ、メアオスゲ、ヒゴクサ、オタルスゲ、ベニイトスゲ、ヒカゲスゲ、ノゲヌカスゲ、シラコスゲ、コカンスゲ、ヒメカンスゲ、ササノハスゲ、テキリスゲ、ベニカンスゲ、タマツリスゲ、アオミヤマカンスゲ、カンスゲ
→念仏坂コースのスゲ写真

2.ダイヤモンドトレイル(野口)
タガネソウ、メアオスゲ、ヒカゲスゲ、モエギスゲ、オタルスゲ、テキリスゲ、カンスゲ、コカンスゲ、ジュズスゲ、カワラスゲ、ヒメカンスゲ、ベニイトスゲ、ヒゴクサ、タマツリスゲ

3.細尾谷コース(織田)
アズマスゲ、サナギスゲ、ミヤマジュズスゲ、テキリスゲ、ヒメカンスゲ、コカンスゲ、ヒゴクサ、タマツリスゲ、ベニイトスゲ、アオミヤマカンスゲ、カンスゲ、メアオスゲ、ベニカンスゲ

若干の解説(織田)
 金剛山は大阪府ではとりわけ有名な山で標高は1125 mあります。今回観察されたアズマスゲは大阪府では金剛山以外には記録がありません。また、ミヤマジュズスゲは近畿地方では日本海側での各地で見られるスゲです。金剛山は太平洋側に位置する山ですのできわめて珍しいものです。また、アオミヤマカンスゲは隣の葛城山がタイプロカリティですので、金剛山に生えていたものがほぼタイプと同じと考えて良いと思います。

謝辞
 気持ちよく講演を引き受けてくださった永益先生、金剛山で3回にわたって下見をリードしてくださり、当日も案内役を買って出てくださった堺市の吉村さん、準備を手伝ってくださった藤井寺高校の教職員と生徒のみなさん、そしてすげの会近畿支部のみなさん。たくさんの人の好意で開催できました。金剛山のロープウェイ乗り場に全員が無事車で集合できたこと、参加者のみなさんのレベルの高さを改めて感じ取り、嬉しく思いました。
(織田記)

金剛山 念仏坂コースのスゲ(写真)

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