第17回全国大会 茨城・栃木大会報告(2006年)

すげの会第17回全国大会は2006年5月13日(土)・14日(日)にわたって茨城県笠間市にある洗心館と茨城県と栃木県をまたがって行われました。参加者は北海道から広島県まで54名、講師および大会補助員8名の計62名が参加しました。
5月12日(金)事前観察会(宇都宮市)
5月13日(土)大会第1日目:植物観察・調査
今回は参加者の希望に合わせ、集合場所は3カ所ありました。
(1) 初夏の常陸野散策
集合・受付 9:30~ 吾国山洗心館
那珂川河川敷および笠間湖観察 10:00~ (10:30JR笠間駅)
(2) 渡良瀬遊水地
集合 9:30 JR野木駅西口 渡良瀬遊水地および笠間湖観察
(3) 柳田緑地付近
集合 9:00 JR宇都宮駅東口
宇都宮市飯山町および柳田緑地観察
吾国山洗心館
夕食,懇親会,同定会
5月14日(日) 大会第2日目
総会 8:30~
会誌名称および会計報告等
講演および研究発表会 9:00~
長谷川順一「私の撮ったスゲ」
北村孔志 「洪水による撹乱とハタベカンガレイ」
福留正明 「青森県の下北周辺で見られたSchoenoplectus について」
星野卓二・正木智美 「日本産スゲ属植物の分子系統」
白井伸和 「長野県植物誌(イネ科)をふりかえって」
昼食,解散 13:00
<大会第1日目の調査地:茨城県,栃木県>
(1) 常陸野散策
観察地-1 城里町(旧常北町)上泉
5万:水戸 2.5万:石塚
メッシュコード 5440-53-72
観察地-2 城里町(旧桂村)粟
5万:常陸大宮 2.5万:常陸大宮
メッシュコード 5440-63-00
観察地-3 常陸大宮市(旧御前山村)下伊勢畑
5万:常陸大宮 2.5万:野口
メッシュコード5440-62-55
観察地-4 笠間市飯田 笠間湖
5万:水戸 2.5万:徳蔵
メッシュコード 5440-52-12
(2) 渡良瀬遊水地
観察地-1 渡良瀬
5万:古河 2.5万:古河
メッシュコード 5439-25-(76~85,86~96)
観察地-2 笠間市飯田 笠間湖
5万:水戸 2.5万:徳蔵
メッシュコード 5440-52-12
(3) 宇都宮市飯山町および柳田緑地
観察地-1 飯山町
5万:矢板 2.5万:下野大沢
メッシュコード 5439-06-(24~34)
観察地-2 柳田緑地
5万:宇都宮 2.5万:宇都宮東部
メッシュコード 5439-67-(87~97)
2006年の全国大会は栃木県と茨城県をまたがって行われました。事前観察会にも大勢の方が参加し、充実した会となりました。今回の目玉は飯山町「ヤマクボスゲCarex hymenodon Ohwi」、鬼怒川「スナジスゲCarex glabrescens Ohwi」、渡良瀬遊水地「ハタベスゲCarex latisquameaKomar.」ではないでしょうか?前の2種はこれまでの調査で知られていた種でしたが、最後のハタベスゲはなんと栃木県新産とのことでよろこびもひとしおです。このハタベスゲは会員の支倉さん、永島さん、佐々木さんらが発見したものです。ウマスゲに似ているけどちょっと違うということで、懇親会に持ち込まれ同定されました。個体数が少なかったとのことで貴重な存在です。このまま生育環境が保護されることを望みます。
講演および研究発表会ではスゲだけでなく、ホタルイ類やカンガレイ類、イネ科に至まで幅広い勉強ができました。イネ科の発表はこれまでのすげの会において初めてでした。会員の中にはイネ科に興味を持つ方が多く、発表後に次々と質問があり活発な発表会となりました。
会の終わりには「栃木・茨城大会特製」湯のみ(または茶碗)が配られました。しっかりとした焼き物で手触りも良く、素晴らしい記念となりました。(正木)
<観察会で観察されたスゲ属植物:記録があるもの>
(2) 渡良瀬遊水地 第2調整池:栃木県小山市下生井(溝口智秋氏による)
スゲ属:カサスゲ、スナジスゲ、ヌマアゼスゲ、ハタベスゲ、アオスゲ、メアオスゲ、アゼナルコ、ミコシガヤ、ヤブスゲ、ヤワラスゲ。
スゲ属以外:マイヅルテンナンショウ、チョウジソウ、サクラソウ、トネハナヤスリ、エキサイゼリ、シムラニンジン。
(3) 宇都宮市飯山町および柳田緑地(正木記録)
飯山町:クロヒナスゲ、シロイトスゲ、カワラスゲ、ゴウソ、クサスゲ、メアオスゲ、ミヤマカンスゲ、ヒメカンスゲ、ヤマクボスゲ、シラコスゲ、ヤマアゼスゲ、コジュズスゲ、ツルカミカワスゲ、ハリガネスゲ、オニスゲ、タニガワスゲ、ヒカゲスゲ。
鬼怒川:シバスゲ、スナジスゲ、カサスゲ。