第21回全国大会 鳥取大会報告(2010年)

第21回全国大会 鳥取大会報告(2010年)

第21回大会
於 国民宿舎山紫苑

はじめに
 すげの会第21回全国大会は,2010年5月22日(土),23日(日)に2日間にわたり,温泉と花のあふれる城下町「鳥取市鹿野町」において開催された。北は北海道から西は,佐賀県まで全国より総数42名の参加者であった。総会・研究発表会は鳥取市鹿野往来交流館「童里夢」,宿泊は鹿野温泉国民宿舎山紫苑,観察会はサンインヒエスゲ元記載地鷲峰山で行われた。
 総会,研究発表,野外観察会など,全国大会にふさわしい思い出に残る大会であった。

日 程
 5月22日 (土)
11:00~      オプショナルツアー「すげ笠弁当」の昼食と街並み散策
「すげ笠弁当」の昼食とぷらっと鹿野ガイドの会の案内による,鹿野町内の町並みの散策。すげ笠弁当は地元の食材を十分に利用した山菜料理の評判が良好であった。
12:00~13:15  鹿野往来交流館にて受付
13:15~13:45  総会
 田中実行委員長の議事進行により行われた。
1. 会長挨拶(星野)
2. 会員異動 (正木)
3. 平成21年度事業報告(正木)
4. 平成21年度会計報告,監査報告(正木)
5. 平成21年度事業計画案(正木)
6. 平成21年度予算案
7. その他
   *会計監査などの案件がすべて了承された。
14:00~16:50  研究発表会(1人20分7人)
   *鳥取県立博物館 特別自然講座「すげの会講演会」として一般公開
 地元鹿野町をはじめとして県内各地から30名の一般参加者があった。すげの会会員と合わせ70名を越える参加者で会場は満員となった。鹿野往来交流館と山紫苑の管理者である(株)ふるさと鹿野の代表取締り社長で,NPOいんしゅう鹿野まちづくり協議会会長の長尾裕昭氏の歓迎の挨拶ののち,7題の研究発表会が行われた。
1.鳥取県のスゲについて 坂田成孝(鳥取県植物誌調査会)
鳥取県の植生,地質から見たスゲ属の分布について

2.鹿野すげ笠を守る会の活動紹介 村上秀男(鹿野すげ笠を守る会)
すげ田の保存とすげ笠の製作を通しての地域の活性化

3.ミチノクホタルイの分布と植生学的位置づけ  大森威宏(群馬県立自然史博物館)
日本海要素の中でも東北日本に分布が偏り,低層湿原の攪乱地に依存する種

4.「日本のスゲ」(勝山、2005)で取り上げなかったヒメシラスゲ節のスゲ属植物
  ―チチブシラスゲ、アイノコシラスゲ、コカイスゲ―
  勝山輝男(神奈川県立生命の星・地球博物館)
 ・チチブシラスゲとザラツキシラスゲは同じもの
 ・アイノコシラスゲとエナシヒゴクサの果胞の違い。エナシヒゴクサに近い
 ・コカイスゲ 痩果は熟しているように見え、雑種とは思えない。

5.カヤツリグサ科植物の形態に関する用語 -英語表記との対応-
  星野卓二(岡山理科大学)
スゲ属の図に対する日本語と英語表記

6.アオスゲ類の痩果微細形態 織田二郎(京都大学総合博物館)
アオスゲ類とシバスゲの痩果微細形態による比較と種の考察

7.日本産スゲ属植物分布図の作成について 2 正木智美(岡山理科大学)
「分布図集(試案)」から「分布図集」へ 分布図の作成紹介

17:00~17:20 徒歩で「すげ田見学」終了後、送迎バス等で山紫苑へ移動。
17:50      記念写真撮影
18:00~20:00 懇親会
 田中実行委員長の挨拶と司会で進行。星野会長の乾杯後,懇親会に入る。
懇親会では多くの会員が1年ぶりの再会となり,話題はすげの話,全国大会の様子,各県からの情報など,話はつきないようであった。鹿野すげ笠を守る会の村上会長,池本副会長もご参加いただいた。
勝山副会長の一本締めで懇親会終了
20:00~ 標本同定会
 会員や鳥取県博物館の標本について10時まで同定が行われた。星野会長よりアワボスゲ,ヒメミコシガヤ,ホザキマスクサの標本が配布された。岡山理科大学のスゲ栽培によるもの。

5月23日 (日)
7:00~8:00  朝食・出発準備
8:30      山紫苑出発(道のり約2 km。自家用車分乗で)
9:00~11:00 野外観察会
 天気予報によると本日は雨とのことで,全員が雨具の準備完了。自家用車で鷲峰山の林道を標高400mまで。サンインヒエスゲ発見者の田中の案内で,尾根道の原記載地まで1時間あまり。さいわいサンインヒエスゲの自生地に到着のころは雨もやみ十分に観察,採集も行えた。
当日に出てきた鷲峰山のスゲは13種であった。
ニシノホンモンジスゲ,アズマナルコ,ヒカゲスゲ,カワラスゲ,ヒゴクサ,
ヒロハノオオタマツリスゲ,タガネソウ,ヒメシラスゲ,ジュズスゲ,メアオスゲ,
アオスゲ,ミヤマカンスゲ,サンインヒエスゲ
終わりに星野会長の閉会挨拶後解散した。

 次回は東北秋田あたりで開催してはということで,雨の中の観察会終了。昼食は宿に到着後,山紫苑で。

おわりに
 鳥取鹿野大会には北海道から九州まで,広く多くの会員の皆様に参加いただきました。新しくできた鹿野往来交流館の設備の整った中での発表会,すげ田の現地視察,雨の中での鷲峰山の観察会は無事終了いたしました。
 この会にあたって岡山理科大学の星野先生をはじめ,正木さん,学生さん,地元の(株)ふるさと鹿野いんしゅう鹿野まちづくり協議会,鳥取市役所鹿野総合支所,鹿野すげ笠を守る会などの多くの方の協力で大会が無事終了したことを大変感謝いたします。また鳥取県博物館公開講座として計画立案などに当たっていただきました学芸課自然担当有川智己氏に対し厚くお礼申し上げます。

(担当:田中昭彦、坂田成孝 すげの会全国大会鳥取大会実行委員)

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