第26回全国大会 東京大会報告(2015年)

第26回全国大会 東京大会報告(2015年)

第26回
於 小貝川にて記念撮影(撮影:浅間恒雄)

於 小貝川にて記念撮影(撮影:浅間恒雄)

 すげの会第26回全国大会は、2015年5月9日(土)・10日(日)に開催されました。今年は1990年にすげの会が設立されて25周年ということで、1日目は記念シンポジウムを東京大学理学部2号館講堂で、2日目は野外観察会を茨城県小貝川流域とその周辺で開催しました。

日程
2015年5月9日(土)
12:30〜13:15 受付
13:15〜16:30
すげの会25周年記念シンポジウム
   すげ -その魅力を探る-
1) イントロダクション(池田 博・東京大学)
2) 基調講演「夢に見た話」(大場秀章・東京大学名誉教授)
3) すげの会25年の歩み(星野卓二・岡山理科大学/すげの会会長)
4) 日本のスゲ属植物の分類 10年の成果
(勝山輝男・神奈川県立生命の星・地球博物館/すげの会副会長)
5) スゲの新分類群はまだ眠っている(織田二郎・近畿スゲの会)
6) 分子系統にもとづくスゲ属植物の進化(星野卓二)
7) スゲ属植物分布図集の完成をめざして(正木智美・岡山理科大学)
8) Diverse sedges in Korea(鄭 京淑 Chung, Kyong-Sook・Jungwon University, Korea)

16:45〜17:15 総会
1) 会長挨拶(星野)
2) 会員異動(正木)
 新入会8名(一般5名、学生3名)、退会8名、逝去1名で、現在294名(一般会員287名、学生会員7名)+1団体
3) 役員改選(正木)
 「莎草研究」19号掲載の27年度~29年度の役員(会長、副会長、編集委員、評議委員、庶務幹事、会計幹事、会計監査)に関して、基本的には平成24年~26年度までの役員の留任が提案され了承されたが、評議委員については担当の県にいない方や逝去された方などがいることが指摘され、問題のある県(宮城県、福井県、島根県、徳島県、愛媛県)の評議委員に関してはとりあえず空席とし、来年度の総会で新たな人選に関する提案をすることとなった。
4) 平成26年度事業報告(正木)
 平成26年度に関する以下の事業が報告された: 「莎草研究」No. 19発行、「すげの会ニュース」No. 20発行、スゲ分布図集 No. 8発行、第61回全国大会(鹿児島大会)開催、標本同定会(大阪市立自然史博物館)開催。
5) 平成26年度会計報告(正木)
 平成26年度会計報告がなされ、会計に問題ないことが監査により示され、承認された。
6) 平成27年度予算(正木)
 平成27年度予算案が示され、特に問題なく承認された。
7) 平成27年度事業計画(正木)
 平成27年度に関する事業計画:第62回全国大会(東京大会)、「莎草研究」No. 20 発行、「すげの会ニュース」No. 30 & 31、スゲ分布図集 No. 9、標本同定会(徳島県立博物館)開催、が示され、承認された。
 なお、第63回全国大会開催地については、総会の場では決まらなかったが、懇親会の際に新潟県で開催されることが報告された。

18:00〜20:00 懇親会(於: 東京大学構内 山上会館1階ホール)

5月10日(日)
9:00 関東鉄道常総線「水海道駅」集合
 バスで移動し、小貝川流域・福岡堰周辺で観察
12:00 ミュージアムパーク茨城県自然博物館に移動
 昼食後、博物館脇の菅生沼周辺で観察会
15:00 博物館発、「水海道駅」へ
16:00 「水海道駅」にて解散

○確認された主なスゲ属植物
・福岡堰周辺:アゼスゲ、ウマスゲ、カサスゲ、ヤワラスゲ、アゼナルコ、マスクサ、アオスゲ、
    ミコシガヤ、クロカワズスゲ、ヤガミスゲ、コジュズスゲ
・菅生沼周辺:アゼナルコ、ウマスゲ、ヤワラスゲ、ヌカスゲ、ヤガミスゲ、コジュズスゲ、
   マスクサ、エナシヒゴクサ、カサスゲ、オニナルコ、ヒゴクサ、ノゲヌカスゲ、
   アオスゲ

 今回はすげの会設立25周年ということで、1日目に「すげ -その魅力を探る-」と銘打ち、一般の方も含めた公開記念シンポジウムを開催しました。基調講演として大場秀章・東京大学名誉教授にご講演いただいた後、すげの会会員による会の歴史、スゲ・フロラの解明、現在進行形で進むスゲの分類や系統解析、会員の協働による分布図集の作成など報告をいただきました。さらには韓国におけるスゲ研究の現状についての報告もあり、盛りだくさんの内容を楽しんでいただけたのではないかと思います。シンポジウムの参加者数は80名を超え、すげの会の会員だけではなく一般の方の参加も数多く、スゲに興味を持つ方が思いのほか多いことがわかりました。このシンポジウムの内容については、「莎草研究」20号にて特集が組まれると伺っています。また、夜に開かれた懇親会では、おいしい料理と酒に舌鼓を打ちながら、楽しい時を過ごすことができました。
 2日目は晴天のもと、55名の参加を得て茨城県の小貝川・福岡堰および菅生沼周辺で観察会が開催されました。開始の合図とともに、みなさん一斉にスゲを求めて探索行動に移る姿は、いつもながら壮観なものがありました。小貝川と菅生沼の2カ所で見ることができたスゲは18種に上り、特に、小貝川ではクロカワズスゲなど、これまでの調査で見つかっていなかった種を見いだすことができました。新たな分布情報は、今後の茨城県のフロラ調査に活用させて頂きます。残念ながら、今回の目玉としていた「コカイスゲ」は自生のものを見ることはできませんでしたが、代わりに勝山家に繁茂しているコカイスゲを希望者に配布させていただきました。
 シンポジウム、総会、懇親会、野外観察会と大きな混乱もなく、無事に終えることができました。これも星野会長をはじめとする会員のみなさまのご協力と感謝いたします。今後もますますすげの会が発展・活躍されることを心よりお祈り申し上げます。

(大会実行委員: 池田博、勝山輝男、山本伸子、鵜沢美穂子)

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