第3回全国大会 東京・千葉大会報告(1992年)

第3回全国大会 東京・千葉大会報告(1992年)

第3回大会
宿舎(成田ビジネスホテル)前にて

 「すげの会」第3回全国大会が、1992年5月9~10日の2日間にわたり、東京都文京区本郷の東京大学総合研究資料館と千葉県成田市において開催された。北は青森から、南は九州・福岡県からの総勢40名の参加者があり、熱の入った活発な意見交流があり、全国大会にふさわしい2日間であった。

5月6日(土)研修会・講演会・総会
 12:30~14:30 研修会
「アオスゲとその近縁種の分類」勝山輝男(神奈川県立博物館)
「ホタルイとその近縁種の分類」青木章彦(作新学院女子短期大学)
 多型なアオスゲ類を全国各地の標本コピーや、13種の文献にある記載をまとめた8ページにわたる資料を使っての説明があった。
 また、ホタルイの近縁種についても、解剖図や検索表のある解り易い資料を使っての詳しい説明があった。
 こういった資料を戴けるだけでも、参加者にとっては大変参考になると思う。

 14:30~16:00 講演会
「スゲ入門」益村 聖(福岡県筑後市)
「ヒメカンスゲの種内変異」星野卓二(岡山理科大・生物)
 益村氏からスゲの分類の基本になる外部形態などが詳しく解説された資料が配布された。会誌に載せていただけると多くの会員の方々の参考になると思う。(これはすげの会会報第4号にあります。)
 講演終了後、京星電車で、総会・懇親会・観察会の行なわれる成田市へ移動した。なお、研修会の始まる直前に、今大会世話人の東大・大場秀章先生のお取り計らいにより、資料館の収蔵庫を見学する機会を得た。標本のカバーに赤い線の入った(タイプ標本を示す)ものが目につき、歴史の重さを感じさせられた。

 19:00~19:30 総会
 平成3年度の会計報告と平成4年度の事業計画が提案され、了承された。また、平成5年度の全国大会は、仙台市の庄子邦光氏にお世話していただくことになった。

 19:30~21:30 懇親会
 総会も終わり、引き続き乾杯の後、懇親会に入った。各地の情報、カヤツリグサ科のみならず、他の分類群に関しても全国大会ならではの話題に花が咲いた。その後、宿舎となる成田ビジネスホテルへマイクロバスにて移動。荷を下ろしてからも、夜遅くまで標本の同定など、会員の交流が続いた。

5月10日(日)野外観察会
 昨日からの雨がまだ降り続いていた。出発前に真崎博氏(山口県下松市)からツクシカンガレイなどの標本や、谷城勝弘氏採集のオオアゼテンツキ(「すげの会会報2号」参照)の標本が会員に配られた。

 9:00 宿舎のすぐ前から、今日の観察コースが始まっていた。千葉県・北総地域に多い谷津田(やつだ)に入り込むと、サワフタギの白い花や、イカリソウ・キンランなど山草愛好家などの乱獲により激減してしまった植物にも出会え、自然が比較的良く残っているところであった。雨も上がり、観察も進んだ頃、谷城氏のご家族が、お手製の豚汁を車で差し入れに来てくださった。少し肌寒い5月の雨を経験したばかりの体には、この暖かい心配りは何よりの御馳走であった。

 12:00 野外で食べるはずだった弁当を宿舎に戻ってから頂いた。採集した標本を整理していたが、その間も同定をめぐる話しに花が咲き、情報交換の貴重な場となった。 
 15:00 次回、宮城県での再開を期して解散した。

おわりに
 東京、千葉県成田市での東京大会は東大の大場先生をはじめ研究室の皆様には大変お世話になりました。また遠路はるばる多くの会員の方の皆様方にご参加いただき誠にありがとうございました。さらに、寒い中、差し入れをしてくださった谷城氏のご家族の皆様に感謝いたします。

観察会で見られた主なカヤツリグサ科植物 

アオスゲ、アゼスゲ、イトアオスゲ、イトスゲ、オニスゲ、カサスゲ、カワラスゲ、クサスゲ、クロカワズスゲ、ケスゲ、コイトスゲ、ゴウソ、コジュズスゲ、シロイトスゲ、ジュズスゲ、チュウゼンジスゲ、ノゲヌカスゲ、ハリガネスゲ、ヒカゲスゲ、ヒメカンスゲ、ヒメゴウソ、ホシナシゴウソ、ホソバヒカゲスゲ、マスクサ、メアオスゲ、マツバスゲ。(木村陽子記)

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