第6回全国大会 福井大会報告(1995年)

第6回全国大会 福井大会報告(1995年)

第6回大会

 1995年度すげの会の全国大会が、5月20日から21日にかけて、全国から70名の参加者を迎えて福井県朝日町立福井総合植物園で開催されました。すげの会事務局のお話によれば、参加者はこれまでの最高であった由。20日は講演や研究発表があり、その後標本同定会、夜はひきつづき植物園のレストランで懇親会が行われました。翌21日は、お隣りの清水町のスゲ笠用のスゲ田を観察(スゲ笠を作っているところは全国でも数少なくなっている)、つづいて大野市の南六呂師の経ヶ岳登山口や、六呂師高原の湿原で多数のスゲ類を観察、北陸のスゲ類を楽しみ、午後4時福井駅で解散しました。

日  程

 第1日(20日)福井総合植物園第一研修室  
  講 演 会  10:30~12:00 
「スゲ属植物の分類と研究の歴史」星野卓二

  総   会  13:00~13:30      
  休   憩 13:30~14:00
  大会(発表) 14:00~16:00
「北関東産カヤツリグサ科の検討(1)カドハリイについて」 野口達也
 「福井県の植生について」 斉藤寛昭
 「福井県の特徴的な二、三の植物について」若杉孝生
  標本同定会 16:00~17:30
  休   憩  17:30~18:00
  懇 親 会 18:00~20:00 (植物園館内レストラン)
*終了後、各宿泊所へ

第2日(21日)
  プラントピア(植物園)出発 8:00 
  清水町(スゲ田観察)    8:30~ 9:00
  大野市(スゲ観察・採集) 10:30~15:00
  JR福井駅・散会     16:30

特別展 福井県のスゲ属植物

 すげの会の1995年度の全国大会が福井で行われたのを機に、福井総合植物園では5月10日から6月11日の間、特別展「福井県のスゲ属植物」を開催しました。付属植物館の研修室では30点のスゲ植物のスチール写真と、県内自生のスゲ植物のおしば標本と生標本、また秋山茂雄氏採集になる貴重な標本多数を展示しました。さらにスゲ属植物研究の最新情報である勝山輝男氏の日本産アオスゲ類の再検討及び藤原陸男・松田義徳両氏による「本州日本海側に産するナガエスゲCarex otayae ohwiの形態と分布」についての研究論文や関連資料の展示も行い、大会参加の会員の方々や一般入場者のみなさんにも大変好評でした。

終わりに
 福井総合植物園の開園を記念してすげの会の全国大会を当園で開催していただいたことは誠に記念すべきことと考えます。県内のスゲ属植物についてはまだ不明なことも多く、これからの研究のはげみになることと思います。園内に自生するヒカゲスゲやモエギスゲ、ヒメカンスゲの1型を、星野会長や会員の方々と見て歩いたのも長く記憶に残るでしょう。また観察会では本県初のタヌキナルコを勝山輝男氏によって発見されましたし、同定会ではこれも県内初記録のオオナキリスゲ(吉村洋子採集)、ハバヒロスゲ(若杉孝生採集)が確認されたことも特記すべきことでした。各地から参加していただいた方々は北陸のスゲ類やフロラの観察を楽しんでいただけましたでしょうか。場所の選択や時間の調整など、充分なことが出来なかったことを申し訳なく思っています。最後になりましたが、本大会を指導していただいた星野卓二会長はじめ、同定会でお世話になった勝山輝男氏、野口達也氏他の皆さん、また全国から参加していただいた会員の方々、さらにスゲ田で栽培のカサスゲやスゲ笠などのお土産を用意していただいた清水町当局の方々及び関係各位に厚く御禮申し上げます。
(若 杉 孝 生 記)

観察会で見られた主なカヤツリグサ科植物

アイズスゲ、アオスゲ、アオバスゲ、アズマナルコスゲ、アゼスゲ、イトアオスゲ、オクノカンスゲ、カサスゲ、カワラスゲ、クサスゲ、ゴウソ、コジュズスゲ、タヌキナルコ、タヌキラン、テキリスゲ、ナルコスゲ、ニシノホンモンジスゲ、ハクサンスゲ、ハリガネスゲ、ヒカゲスゲ、ヒメカンスゲ、ヒメゴウソ、ヒロバスゲ、ミノボロスゲ、ミヤマカンスゲ、モエギスゲ他

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